図柄表：ジョージ4世 図柄裏：聖ジョージの竜退治 発行地：イギリス連合王国ロンドン王立造幣局 発行年：1821年 彫刻師：Benedetto Pistrucci 銘文表：GEORGIUS IIII D:G: BRITANNIAR:REX F:D: B.P. 銘文裏：1821 B.P. 銘文縁：DECUS ET TUTAMEN. ANNO REGNI SECUNDO. 額　面：クラウン 材　質：銀（.925） 直　径：37.6 mm 重　量：28.28 g 分　類：KM680; Sp3805 評　価：NGC UNC DETAILS 1821年に発行されたクラウン銀貨。表側にジョージ4世の肖像を描いている。彼の頭髪と葉冠の描写が特に細かく息を飲む。UNCクラスで、発行当時に近い美麗な彫刻に震える。 本貨の彫刻師ベネデット・ピストルッチはイタリアのローマ出身で、ソブリン金貨の聖ジョージの竜退治のデザインが代表的である。イギリス政府から依頼を受けた彼は、コインと共にメダルの製作にも精力的に取り組んだ。1815年にローマからロンドンに渡った彼は、1816年からロンドン王立造幣局でジョージ3世及びジョージ4世のコインの彫刻師として活躍。その後、1828年には主任彫刻師ウィリアム・ワイオンと共に主任メダル彫刻師の役職に任命された。ワイオンは、かの有名な「ウナとライオン」の作者である。 ジョージ4世の肖像の周囲にはラテン語で「GEORGIUS IIII D:G: BRITANNIAR:REX F:D: B.P.」と刻印されている。試訳するなら「ジョージ4世 神の恩寵による 英国王 信仰の庇護者 ベネデット・ピストルッチ」の意。裏側には聖ジョージの竜退治が描かれている。躍動感に溢れた素晴らしい描写である。その出来栄えには脱帽する。文字の刻印は「1821 B.P.」で「1821年 ベネデット・ピストルッチ」を意味している。 エッジにはラテン語で「DECUS ET TUTAMEN. ANNO REGNI SECUNDO.」と打たれている。「装飾と守護 在位2年目」の意。「DECUS ET TUTAMEN」は、古代ローマの叙事詩『アイネイス』に登場する言葉の引用である。エッジに打たれている文字が、装飾であると同時に流通時の磨耗からコインを保護する役目を担う意味合いが込められている。